映画『ミニオンズ&モンスターズ』レビュー、初見でも映画好きでも楽しめる、モンスター映画製作という新たな大冒険

あのミニオンたちが、1920年代のハリウッドで映画を制作する――。8月7日(金)から公開される映画『ミニオンズ&モンスターズ』は、ミニオンズのにぎやかなドタバタ劇と、古き良き映画への愛に満ちた、シリーズ最新作です!
今回の主人公となるミニオンは、おなじみのケビン、スチュアート、ボブ……ではありません。映画作りを夢見るジェームズと、彼を支えるヘンリー、エドという新たなミニオンたちが物語の中心になります。
シリーズが好きな人はもちろん、これまでミニオンズ作品を観てこなかった映画ファンにも提案したい一本です。今回は、試写会で日本語字幕版を鑑賞した感想を、ネタバレなしで紹介します。
映画『ミニオンズ&モンスターズ』はどんな作品なのか?
物語の舞台は、サイレント映画(無声映画)全盛だった1920年代のハリウッドです。
新たなボスを探して旅を続けるミニオンズは、ひょんなことから映画の撮影現場へ。いつも通り現場をめちゃくちゃにしてしまいますが、偶然撮影された映像が評価され、一躍スターの仲間入りを果たすことに。サイレント映画なので、セリフが喋れないミニオンでも問題なし。


しかし、映画の世界はサイレントから、音声のあるトーキーへと移っていきます。独特な言葉を話すミニオンズは、新たな映画作りにうまく対応できず、次第に居場所を失ってしまいます。
それでも、絵を描いたり物語を作ったりすることが好きなジェームズは、映画への夢を諦めません。親友のヘンリーやエドとともに、念願のモンスター映画作りへと乗り出します。
ところが肝心のモンスター役がいない……そこで、本物のモンスターを呼び出そうとしたことから、事態は想像を超えた大騒動へと発展して行くのです……。
ミニオンズが初めてでも入りやすい、新たな物語
「ミニオンズをほとんど観たことがない」という人でも、本作は入りやすい構成になっています。


今回登場するのは、これまでのシリーズで中心だったケビン、スチュアート、ボブとは異なる部族のミニオンズです。
物語の軸となるのは、芸術家肌のジェームズと、親友のヘンリー、心優しいエド。新しいキャラクターを中心に物語が始まるため、過去作の知識がなくても楽しめます。


冒頭では、ミニオンズが大昔からさまざまな悪党に仕えてきた存在であることもコミカルに描かれます。サイクロプスやミイラ、海賊など、次々に現れるボスとのやり取りを見るだけでも、彼らがどんなキャラクターなのか自然にわかるようになっています。
シリーズへの入門編としても見やすく、ここからミニオンズの世界に触れるのもよさそうです。
ミニオンズ好きには新鮮な成長物語
これまでのミニオンズは、仕えるべき最強で最悪のボスを探すことを大きな目的としてきました。しかし、本作のジェームズが追いかけるのは、最強で最悪のボス……ではなく「自分で映画を作る」という自分の夢です。


仲間たちと同じ道を選ばず、自分が本当にやりたいことへ踏み出す。その姿は、これまでのシリーズとは少し異なる新鮮さがあります。(もちろん、予想外の行動から騒動を大きくしてしまうミニオンズらしさは健在です。)
ハチャメチャな笑いを残しながら、一人のミニオンが自分の夢を見つけ、仲間に支えられながら挑戦していく物語になっています。監督のピエール・コフィンは、今回はミニオンズ自身に夢を見つけさせたいと考えたと説明しています。その思いが、ジェームズのまっすぐな映画愛に表れています!
映画好きほど楽しめるハリウッドの小ネタ
本作を、ミニオンズを知らない映画ファンにもおすすめしたい大きな理由が、映画製作をテーマにした物語だということ。ミニオンズがサイレント映画の世界で人気者になり、トーキーの登場によって立場を失う流れには、映画産業が大きく変化した時代が重ねられています。
言葉ではなく、動きや表情で笑わせるミニオンズは、サイレント映画との相性が抜群です。劇中では、ハロルド・ロイド、バスター・キートン、チャールズ・チャップリンらのサイレントコメディが参考にされています。わりと分かりやすいシーンに現れています。
場面の背景やポスター、画面の構図などにも、映画にまつわる小ネタがたくさん散りばめられています。すべての元ネタがわからなくても、映画撮影のセットや小道具を眺めているだけで楽しく、テーマパークのアトラクションを巡っているようなにぎやかさがありました。
余裕があれば、登場人物だけでなく画面の隅々まで目を向けてみてください。
モンスター映画への愛もたっぷり
ジェームズたちが挑戦するのは、モンスター映画です。


理想の怪物を求めて召喚したのは、小さくて緑色の不思議なモンスター、グーミー。一見するとかわいらしい姿ですが、その後、ミニオンズをさらに大きな騒動へと導いていきます。
グーミーのデザインは、H.P.ラヴクラフトの作品に登場するクトゥルフがもとになっています。恐ろしい古代の怪物を、ミニオンズの世界になじむ愛らしいキャラクターへ変えた点もユニークです。


物語の後半には、古典的なSF映画や怪獣映画を思わせる演出も登場します。昔のモンスター映画が好きな人なら、どの作品や時代を思わせる演出なのかを探す楽しみもあるでしょう。
ミニオンたちの友情が映画作りを支える
映画史やモンスターの小ネタだけでなく、ジェームズ、ヘンリー、エドの友情も本作の大切な要素です。


ジェームズは豊かな想像力を持っていますが、その個性は仲間たちに理解されません。そんな彼の夢を信じるのが、親友のヘンリーです。さらに、シリーズ初となる耳の不自由なミニオン、エドも映画作りへ加わります。
ジェームズとヘンリーは、言葉を使わないエドと意思を伝え合うため、独自のサインを考案しています。得意なこともコミュニケーションの方法も異なる3人が、それぞれの力を持ち寄って作品を作ろうとする姿が印象的でした。
「一緒に作ることの楽しさ」が、ミニオンズらしい笑いの中で、自然に描かれています。
音楽が盛り上げるミニオンズの世界
音楽を担当したのは、『ヒックとドラゴン』や『ウィキッド ふたりの魔女』などを手がけたジョン・パウエルです。本作では、コミカルな場面にもあえて壮大で重厚な音楽を合わせています。
小さなミニオンズの行動を大作映画のような音楽が盛り上げることで、そのギャップが笑いにつながっていました。1920年代のハリウッドを描く作品らしく、クラシック映画や初期のミュージカルを思わせる音楽も楽しめます。実は、150人の演奏者と65人編成の合唱団が参加しているとのことで、にぎやかな映像に負けない、スケールの大きな音楽に注目です。
ミニオンズ好きにおすすめしたい理由


いつものように、ミニオンズらしい予測不能な行動や、にぎやかな笑いをたっぷり楽しめます。一方で、ジェームズが自分の夢を追いかける展開には、これまでとは異なる魅力もあります。そして、1920年代のハリウッドを舞台にしたことで、これまでと異なる時代の空気を感じることができます。
おなじみの3人ではなく、新たなミニオンズを主人公にしたことで、シリーズの世界がさらに広がりました。かわいさやドタバタだけでなく、友情や創作への情熱も描かれているため、キャラクターに感情移入しながら楽しめる作品です。
映画好きにおすすめしたい理由
サイレント映画からトーキーへの変化や、撮影現場の騒動、古典的なモンスター映画へのオマージュなど、映画好きが反応したくなる要素が随所にあります。でも、本作が描いているのは、単なるハリウッドのパロディーではありません。
映画を作りたいという気持ちや、想像したものがスクリーンに映し出される喜びが、物語の中心に置かれています。ミニオンズに詳しくなくても、「映画についての映画」として楽しめる一本です。
映画『ミニオンズ&モンスターズ』のまとめ
映画『ミニオンズ&モンスターズ』は、シリーズらしいハチャメチャな笑いと、映画への愛を組み合わせた作品です。
ミニオンズファンにとっては、新しい仲間と新たな物語を楽しめる一作。これまでシリーズに触れてこなかった人にとっては、映画史やモンスター映画の小ネタを入り口にできる作品に仕上がっています。
かわいく、にぎやかで、映画を作る楽しさにも満ちた夏休みらしい一本です。映画『ミニオンズ&モンスターズ』は8月7日(金)より全国ロードショーされます。


作品名:『ミニオンズ&モンスターズ』
監督:ピエール・コフィン
脚本:ブライアン・リンチ、ピエール・コフィン
音楽:ジョン・パウエル
声の出演:ピエール・コフィン、トレイ・パーカー、アリソン・ジャネイ、クリストフ・ヴァルツ、ジェシー・アイゼンバーグ、ジェフ・ブリッジスほか
日本語吹替版キャスト:松平健、千葉雄大、鈴木愛理、山寺宏一、バッテリィズ、LiSA、銀河万丈、寺依沙織、小野友樹、芹澤優ほか
上映時間:1時間30分
公開日:2026年8月7日(金)











