『プリミティヴ・ウォー 恐竜戦争』レビュー 戦場に恐竜が乱入する熱量満点のサバイバル映画

「ベトナム戦争に突然、恐竜が現れた!」
そんな驚きの設定を、正面から映画にしたのが『プリミティヴ・ウォー 恐竜戦争』です。
1968年のベトナムを舞台に、消息を絶った部隊を捜索する米軍兵士たちと、密林に潜む恐竜の死闘を描きます。
荒々しい戦争映画の雰囲気と、次々に恐竜が襲いかかるパニックアクションを組み合わせた本作。今回は試写で鑑賞した感想を、物語の核心には触れずに紹介します。
『プリミティヴ・ウォー 恐竜戦争』とは


1968年、ベトナム戦争の激戦地で、特殊任務に就いていた米軍グリーンベレーの精鋭〈毒ヘビ部隊〉が消息を絶ちます。
捜索を命じられた〈ハゲワシ小隊〉が密林の奥へ進むと、目の前に現れたのは恐竜の大群でした。
戦争のために準備された兵士と武器が、想定外の巨大生物へ向けられることに。こうして、人間と恐竜による全面戦争が始まります。
本作は、イーサン・ペタスによる小説「Primitive War」シリーズを原作としたオーストラリア映画です。
ルーク・スパーク監督が、監督、脚本、製作、編集、美術を担当。本作にはユタラプトルやティラノサウルス、トリケラトプス、ケツァルコアトルスなど、合計12種の恐竜・翼竜が登場します。
ベトナム戦争と恐竜を真正面から融合


本作の魅力は、思い切った設定を最後まで貫いているところです。
ベトナム戦争映画らしい密林や川、ヘリコプター、銃撃戦の中に、巨大な恐竜が突然姿を現します。
一見すると荒唐無稽な組み合わせですが、映像には冗談で作っているような雰囲気がありません。戦争映画と恐竜映画の両方を、本気で成立させようとする熱意が伝わってきました。
部隊が川を進む場面や、湿度の高そうな密林の映像からは、1970年代から1980年代の戦争映画を思わせる空気も感じられます。
恐竜が登場する前から、戦地に足を踏み入れる兵士たちの緊張感が丁寧に作られているため、その後のパニックにも自然と入り込めました。
前置きは短く、すぐに恐竜との戦闘へ


恐竜映画の中には、恐竜が姿を現すまでに時間をかける作品もあります。
一方、本作は比較的早い段階から恐竜が登場。兵士たちは状況を整理する間もなく、戦闘へと巻き込まれていきます。
襲撃を何度も先延ばしにせず、見せ場を次々と展開していくため、作品全体にはかなりの勢いがありました。
銃や爆発物を使って恐竜と戦う場面はもちろん、陸上だけでなく、川や空からも脅威が迫ります。
「軍隊と恐竜が本気で戦ったらどうなるのか」という期待に、わかりやすく応えてくれる映画です。
多彩な恐竜が次々に登場


本作には、大型の肉食恐竜だけが登場するわけではありません。
兵士たちを執拗に追うユタラプトルやデイノニクスをはじめ、スコミムス、トリケラトプス、アンキロサウルスなど、多彩な恐竜が登場します。
空から襲いかかるケツァルコアトルスや、巨大な竜脚類のドレッドノータスも描かれ、恐竜世界の広がりを感じさせてくれました。
恐竜は単なる背景ではなく、種類ごとに異なる動きや特徴を持っています。
襲ってくる恐怖を描くだけでなく、群れで移動する草食恐竜の姿も登場するため、思いがけず雄大な景色を楽しめる場面も。


軍事描写にも力を入れた戦争映画


本作は恐竜パニック映画であると同時に、戦争映画としての作り込みも大切にしています。
元米海兵隊員が軍事顧問として参加。脚本段階では、『プラトーン』や『プライベート・ライアン』などで知られる軍事アドバイザーのデイル・ダイが監修しています。
兵士たちは単独で勝手に行動するのではなく、部隊として連携しながら密林を進みます。
恐竜が現れる設定は大胆ですが、銃の扱いや部隊行動はできる限り現実的に見せようとしている印象でした。
ルーク・スパーク監督も、本作を「まず戦争映画であり、そこにたまたま恐竜が登場する形」にしたかったと説明しています。
この方針があるため、単に怪物から逃げ回るだけではない、独特の緊張感が生まれています。
兵士たちの熱いドラマも見どころ
恐竜との戦闘だけでなく、兵士たちの関係も物語の軸になっています。
危険な任務の中で仲間を助け、部隊を先へ進ませるために覚悟を決める。そんな戦争映画らしい場面も用意されていました。
追い詰められた兵士が「ここはオレに任せて行け!」的な仲間を逃がすような、熱いヤツ…あります!
恐竜の襲撃による派手さだけでなく、同じ部隊で戦う仲間たちの姿が描かれることで、アクションにも重みが加わっています。


ルーク・スパーク監督の情熱が詰まった作品


ルーク・スパーク監督は、以前から恐竜映画を作りたいと考えていたそうです。
しかし、企画をハリウッドへ持ち込んだ際には、「君はスピルバーグではないのだから恐竜映画は作れない」と言われたといいます。
そこで監督は多くの役割を自ら担当し、オーストラリアで作品を完成させました。
本編からも、「戦場で恐竜を暴れさせたい」「好きな戦争映画と恐竜映画を組み合わせたい」という思いがはっきりと感じられます。
大作映画とは異なる荒々しさはありますが、それを補うほどの勢いとアイデアがありました。
いわゆるB級映画らしい大胆さを楽しみつつ、作り手の熱意にも引き込まれる作品です。
エンドロールまで楽しみたい


鑑賞時には、エンドロールの映像にも注目です。
本編終了後には、ベトナム戦争当時の記録フィルムを思わせる、ざらついた映像が流れます。
そこに恐竜が映り込むことで、まるで歴史上の出来事を撮影した記録映像のように見える仕掛けです。これが結構効果的で良いのです。
作品の世界観を最後まで楽しめる演出なので、席を立たずに確認してみてください。
まとめ
『プリミティヴ・ウォー 恐竜戦争』は、ベトナム戦争と恐竜という大胆な組み合わせを、真正面から映像化したサバイバルアクションです。
次々に登場する恐竜、途切れない戦闘、兵士たちの熱いドラマなど、作り手がやりたかったことが画面いっぱいに詰め込まれています。
緻密な理屈よりも、まずは勢いを楽しみたい映画です。
恐竜映画や戦争アクションが好きな人はもちろん、夏らしい刺激の強い作品を探している人にも向いています。
『プリミティヴ・ウォー 恐竜戦争』は、8月7日よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋HUMAXシネマズほかで公開予定です。












