映画『バイオハザード』レビュー|フツーの配達人と逃げ回る94分が楽しい!ゲーム実況を観てるような感覚も。

映画『バイオハザード』

「もし、ゲーム『バイオハザード』の世界に突然放り込まれたら?」そんな恐ろしい想像を、そのまま映画にしたのが10月9日公開の『バイオハザード』です。今回の主人公は、特殊部隊員でも、超人的な能力を持つヒーローでもありません。ごく普通の配達人です。仕事は、ある“医療品”をラクーンシティ総合病院まで届けること。報酬は通常の2倍。

「ちょっと大変だけど、やるか」と引き受けた仕事が、人類史上最もツイていない一夜の始まりになります。

シリーズ30周年を迎えるゲーム『バイオハザード』を、『WEAPONS/ウェポンズ』『バーバリアン』のザック・クレッガー監督が完全オリジナルストーリーとして再構築。過去の実写映画シリーズとは別の、新しい『バイオハザード』です。怖くて、気持ち悪くて、飛び上がるほど驚かされる。なのに、なぜか笑ってしまう。ゲームをプレイしている横で、「そこ! そのアイテム取って!」と叫びたくなるような94分でした。

今回は鑑賞時の楽しさを守るため、物語の核心には触れずに紹介します。

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映画『バイオハザード』(2026)とは?

映画『バイオハザード』場面写真

主人公はオースティン・エイブラムス演じるブライアン。医療搬送を担当する普通の配達人です。公式資料によれば、本作のコンセプトは、「もしゲーム『バイオハザード』の世界に放り込まれたらどうなるか?」

まさに、そのままの映画です。ゲームを知らなくても問題なし。でも知っている人なら、画面のいろいろなところでニヤニヤできる。そんな作りになっています。

配達先は「ラクーンシティ総合病院」で、終了のお知らせ

映画『バイオハザード』場面写真

物語は、雪の降る夜から始まります。ブライアンはその日の仕事を終えようとしていました。ところが、「急ぎで医療品を運んでほしい」と新しい仕事が入ります。報酬は2倍。そして目的地は――。ラクーンシティ。ゲームを知っている人なら、この時点で、「終わった」と思うでしょう。さらに行き先はラクーンシティ総合病院。もう、絶対に行っちゃダメ。

でもブライアンはもちろん知りません。普通に配達へ向かいます。この、主人公だけが何も知らないという状況が、めちゃくちゃ楽しいんです。

主人公ブライアンが普通すぎるから怖い

映画『バイオハザード』場面写真

ブライアンは、特殊な訓練を受けた経験もなく、銃の達人でもなく、格闘技経験者ですらない。当然、クリーチャーへの対策も知識もない。ただの配達人です。監督のザック・クレッガーも、ブライアンを「平均的なゲームプレイヤーが突然ゲームの中へ放り込まれたら」という感覚で作ったと説明しています。

これが本作の大きなポイント。ゲームなら、プレイヤーは怖くてもコントローラーを握っています。でもブライアンには、「セーブデータをロードしてやり直す」という選択肢がありません。見たこともないものが現れたら、とりあえず逃げる。武器があれば使ってみる。安全そうな場所があったら入ってみる。

そして、だいたい安全じゃない。この繰り返しです。「自分だったら絶対無理」と思いながら観るのが楽しい映画でした。

オースティン・エイブラムス、今回もツイてない

映画『バイオハザード』場面写真

ブライアンを演じるのはオースティン・エイブラムス。ザック・クレッガー監督の前作『WEAPONS/ウェポンズ』にも出演しています。さらに近年は『クジラに落ちた男』でも主演。映画を観ていると、「この人、最近ずっと大変な目に遭ってない?」と思ってしまいます。今回もかなり大変です。

ただ、ブライアンは決して嫌な人物ではありません。ちょっと未熟。少し身勝手。愚痴も多い。でも、やるべきことはやろうとする。ブライアンは最終的には「正しいことをして、任務をやり遂げたい」と考える人物です。だから、「もう荷物なんて置いて逃げろ!」と思いつつ、「いや、でも頑張れ!」とも思ってしまう、応援したくなる主人公です。

映画なのに「ステージをクリアしている」感覚になる

映画『バイオハザード』場面写真

個人的にかなり面白かったのが、本作の構成です。ブライアンは目的地へ向かう途中、次々に異なる場所へ迷い込みます。雪道。農地。トンネル。キャンピングカー。下水道。……そしてラクーンシティ! ザック・クレッガー監督は7〜8分ごとに舞台を切り替えることで、ゲームのステージを一つずつクリアしていくような感覚を狙ったそうです。

これがものすごく効いています。「ここを抜けた!」と思ったら、次の場所。安心する暇がない。そして次の場所では、また違う怖さが待っています。約94分という上映時間も、この構成と相性抜群です。走り出したら、止まりません!

「そこにアイテムあるよ!」と言いたくなる

映画『バイオハザード』場面写真

ゲームらしさは、場所だけではありません。映画を観ていると、画面のあちこちに、「それ使えるんじゃない?」と思うアイテムが置かれています。でも……ブライアンは気づかない。観ているこちらとしては、「そこ!」「後ろ!」「そのハシゴ!」と言いたくなる! さらにゲームファンなら、回復スプレーや緑のハーブなど、シリーズおなじみの要素にも気づくかもしれません。

制作陣は実際のゲームプレイを大量に確認し、こうした“イースターエッグ”を映画の各所へ仕込んでいます。武器も少しずつ変化します。最初から重装備で無双するのではなく、ゲームを進めながら装備が強くなっていくような感覚があります。ここも、かなり楽しいところです。

カメラアングルまでゲームっぽい

映画『バイオハザード』場面写真

本作は、単にゲームのアイテムを登場させるだけではありません。撮り方そのものがゲーム的です。監督は、ブライアンの肩越しから追いかけるカメラワークを意識しています。ブライアンが左を見る。カメラも左を見る。右を見る。カメラもついていく。ゲームのプレイヤー視点に近い感覚です。

そのため、「ブライアンを見ている」というより、「ブライアンと一緒に進んでいる」感覚になります。暗い廊下へ入るだけでも怖い。角を曲がるだけでも嫌。その先に何がいるのかわからない。ゲーム版『バイオハザード』の、「次の部屋、入りたくないな……」という気持ちが、そのまま映画になっています。

怖いのに、ちょっと笑える

映画『バイオハザード』場面写真

ザック・クレッガー監督の面白さは、ホラーだけではありません。もともとコメディの世界でも活動してきた人物で、『バーバリアン』『WEAPONS/ウェポンズ』でも、恐怖の中へ独特の笑いを混ぜています。今回も同じ。普通に怖い。かなり気持ち悪い。なのに、「いや、そんなことある?」と笑ってしまう瞬間がある。

主演のオースティン・エイブラムスも、クレッガー監督について「一瞬でゾッとさせて、次の瞬間には笑わせる」とコメントしています。これがちょうどいい……90分以上ずっと緊張させられたら疲れます。でも途中で笑えて、少し緩む。そして、次の瞬間また怖い。

完全に遊ばれています。

クリーチャーがちゃんと気持ち悪い

映画『バイオハザード』場面写真

そして『バイオハザード』ですから、もちろん感染者や異形のクリーチャーも登場します。ここはかなり本気です。CGだけで作るのではなく、巨大なアニマトロニクスなど実物の特殊造形も使用。下水道のあるクリーチャーは、高さ約2.4メートル、重量約1トンのアニマトロニクスとして制作されています。

映画を観ていて、「なんか妙に生々しいな……」と感じるのは、そのためでもあります。ぬめる。動く。裂ける。飛び散る。かなり気持ち悪いです。褒めています。

R15+。グロ描写はかなり本気

映画『バイオハザード』場面写真

ここは事前に知っておいたほうがいいポイントです。本作はR15+。血しぶき。傷口。臓物。粘液。かなり派手に出てきます。上映時間は1時間34分です。ホラーは好きだけど、スプラッター描写が苦手という人は少し注意してください。

また、映画内には強い光の点滅を伴う場面もあります。光刺激に敏感な方は、劇場や公式から案内される注意事項を事前に確認しておくと安心です。ただ、グロ描写も含めて、「バイオハザードを映画館でやるならここまで行く!」という勢いがあります。

ゲームを知らなくても楽しめる?

映画『バイオハザード』場面写真

大丈夫です。ゲームを知らなくても、「普通の男が化け物だらけの街から逃げる映画」として成立しています。シリーズのキャラクターや細かな設定を覚える必要もありません。逆にゲームを知っている人は、「あれ!」「これ!」という発見が増えます。ゲーム経験者だけでなく、過去の映画シリーズを観ていない人でも楽しめる作品として制作されています。

つまり、初心者はストレートなホラーとして。ファンは「バイオ愛」を探しながら。それぞれ違う楽しみ方ができます。

「裏切らないな!」と「研究室の床は滑る」

映画を観終わって、印象に残った言葉が2つあります。「裏切らないな!」そして、「研究室の床は滑る」です。今は何のことかわからなくて大丈夫です。むしろ、そのまま忘れてください(笑)。

映画を観終わったあと、「ああ、これね!」と思ってもらえれば十分です。これ以上は言いません。

映画館でみんなと怖がるのが正解

映画『バイオハザード』場面写真

ザック・クレッガー監督は、ホラー映画を映画館で観ることを“共同体験”だと語っています。誰かが飛び上がり、誰かが笑い、隣から小さな悲鳴が聞こえる。そうした観客の反応まで含めて、ホラーは楽しくなる。今回の『バイオハザード』は、まさにそのタイプ! 一人で静かに怖がるより、大きなスクリーンで、「うわっ!」「気持ち悪っ!」「そこ行くなって!」と心の中で叫びながら観たい映画でした。

映画『バイオハザード』のまとめ

新しい『バイオハザード』は、普通の配達人が、最悪の夜をひたすら逃げ続ける映画です。たったそれだけ。でも、そのシンプルさが最高オブ最高。主人公は強くない、知識もない、準備もない。ただ医療品を届けたいだけ。なのに次から次へと最悪なことが起こる。ステージが変わり、武器が変わり、アンデッドやクリーチャーが出る。逃げる。ひたすら逃げる。怖いのに笑えて、笑った直後にまた飛び上がる。「『バイオハザード』を映画としてプレイする」ような94分でした。

ゲームファンにも、ゲームを知らないホラー好きにも、そして「今日は映画館で楽しく怖がりたい」という人にもおすすめです。映画『バイオハザード』は、2026年10月9日(金)全国公開。ラクーンシティへ向かう普通の配達人ブライアンと一緒に、ぜひ94分間逃げ回ってみてください。

映画『バイオハザード』ポスター

作品名:『バイオハザード』
原題:RESIDENT EVIL
監督:ザック・クレッガー
脚本:ザック・クレッガー、シェイ・ハッテン
出演:オースティン・エイブラムス、ザック・チェリー、カーリー・レイス、ポール・ウォルター・ハウザー
上映時間:1時間34分
製作国:アメリカ
映倫区分:R15+
公開日:2026年10月9日(金)
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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