『ディスクロージャー・デイ』レビュー|スピルバーグがUFO“開示”を真正面から描く

『ディスクロージャー・デイ』
『ディスクロージャー・デイ』

※本記事は予告編・公式資料で明かされている範囲を中心に紹介し、物語の核心には触れません。
※本記事は東宝東和様からご招待いただいた試写を観てのレビューとなります。

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スピルバーグ監督が昔っから大好物なやつ

「宇宙人は、実は昔から地球に来ていた」

「政府はその証拠を知っているけれど、世界が混乱するから隠している」

UFO番組や都市伝説で、一度くらい聞いたことがある話ではないでしょうか。

そんな題材を、スティーヴン・スピルバーグ監督がド直球に映画にしたのが『ディスクロージャー・デイ』です。

しかも原案もスピルバーグ自身ということで、大好物過ぎるネタなんだと思います。

エミリー・ブラント、ジョシュ・オコナー、コリン・ファース、コールマン・ドミンゴら豪華キャストを集め、「もし本当に隠されてきた真実があるなら?」、そしてそれが明かされる「ディスクロージャー・デイ」=「情報開示の日」の瞬間をハリウッド大作映画として描いています。

試写で観て感じたのは、

「こういう宇宙人映画が観たかった!」

という楽しさでした。

前半は「一体何が起きているの?」というサスペンス。

そこから少しずつ真実が“開示”され、映画そのものもどんどんスケールアップしていきます。

『未知との遭遇』など、スピルバーグの宇宙ものが好きな人はもちろん、「UFOってちょっとワクワクする」というくらいの人にもおすすめしたいSF大作です。

そもそも「ディスクロージャー・デイ」とは?

エミリー・ブラントとジョシュ・オコナー

タイトルの“Disclosure”は、「公開」「開示」といった意味。

本作が描くのは、長年隠されてきた“ある真実”を世界へ明らかにするべきかどうかをめぐる物語です。

中心人物のひとりが、エミリー・ブラント演じるマーガレット・フェアチャイルド。

カンザスシティのローカルテレビ局で天気を担当している彼女に、ある日不可解な出来事が起こります。

もうひとりの主人公は、ジョシュ・オコナー演じるダニエル・ケルナー博士。

ダニエルは、UAP(未確認異常現象=Unidentified Anomalous Phenomena)や非人類の存在に関する情報を秘匿してきた謎の組織「ワーデックス」で働くサイバーセキュリティの専門家です。

そして、

「この事実は世界へ伝えるべきだ」

という側と、

「まだ人類に知らせるべきではない」

という側がぶつかっていきます。

その中心にあるのが、

「もし地球外生命体の存在が本当に証明されたら、世界はどうなる?」

という問いなんです。

前半は「なぜ?」が続くサスペンス

予告編を見ると、UFOらしきものや不可解な現象も登場します。

でも、本編ではいきなりすべてを説明してくれるわけではありません。

最初は、

「何が起きている?」

「なぜマーガレットにこんなことが?」

「ダニエルは何を知っている?」

と、どんどん疑問がわいてきます。

この前半がしっかりサスペンスになっているんです。

脚本を担当したデヴィッド・コープは、本作を1970年代の陰謀スリラーのスタイルで描いたとのこと。参考にした作品として、シドニー・ポラック監督の『コンドル』も挙げています。

つまり、

UFO映画+政府の陰謀スリラー。

この組み合わせ、かなり相性いいんですよね。そう。あれです。かつての矢追純一のUFO番組です。(ちなみにこのラインの映画で白眉はM・ナイト・シャマラン監督の『サイン』ですね)

真実へ近づけば近づくほど、それを止めようとする側も動き始める。

後半になるにつれ状況がどんどん切迫し、観客も一緒に「早く真相を知りたい」と引っ張られていくのです。

公開すべきと思う側と秘匿すべきと思う側の攻防

スピルバーグの“宇宙人映画”が帰ってきた

スティーヴン・スピルバーグと地球外生命体。

この組み合わせには長い歴史があります。

17歳の頃には、すでにUFOを調査する科学者を題材にした自主制作映画『Firelight』を制作。

その後、『未知との遭遇』『E.T.』『宇宙戦争』など、さまざまな角度から地球外生命体を描いてきました。

もちろん今回の『ディスクロージャー・デイ』は『未知との遭遇』の続編ではありません。

ただ、『未知との遭遇』で描いたテーマの“締めくくりとも言える作品”としての意味を持っています。

スピルバーグ自身も、

『未知との遭遇』の頃は「これが本当だったら素晴らしくないか?」と考えていた。

それが現在では、「これがすべて真実だと皆が知れたらどうなる?」へ変わったと語っています。

この変化が、そのまま映画になっているように感じました。

UFO都市伝説を、大予算で本気でやる楽しさ

ミステリーサークルはロマン

個人的に一番楽しかったのがやっぱりここなんですよね。

ロズウェル事件。

エリア51。

MJ-12(マジェスティック・トゥウェルヴ)。

ミステリーサークル。

政府による秘密計画。

宇宙から来た技術の解析。

「実は昔から来ていたのでは?」

そんなUFO番組で聞いたことがありそうな話が、次々と映画の中で展開されるのです。

本作のSF要素は実際のUAP関連事象、ロズウェル事件、CIAによる遠隔透視研究など、現実世界で語られてきたさまざまな題材にインスパイアされています。

ただし、それらをそのまま並べるだけではありません。

「こうだったら面白いよね」

というスピルバーグらしい想像力で膨らませていく。

昔のUFO特番を、大作映画の予算と最新技術で本気で作ったようなワクワク感があります。

「そうそう、こういうのが見たかった!」

と思う場面が何度もくるんです。

実在のUAP報道が、映画を動かした

面白いのは、本作が単なる懐かしいUFO趣味から生まれたわけではないという所。

スピルバーグが再びUFO/UAPへ強く関心を持ったきっかけのひとつが、2017年に報道されたアメリカ国防総省のUFO調査プログラムでした。

さらに2023年には、アメリカ連邦議会でUAPをめぐる公聴会が開かれています。

こうした現実の動きが、本作を作る大きなきっかけになったとスピルバーグは説明しています。

ちなみに「UAP」(未確認異常現象)は従来の「UFO」に代わって現在では公的な場でも使われることが増えた呼び方です。

本作は、昔ながらのUFO映画でありながら、かなり“今”のUFO映画でもあるのです。

エミリー・ブラントから聞いたことのない声が出る

クケッ!コカカッ!

予告編で強烈なのが、マーガレットに起こる不可解な現象です。

テレビの生放送中、エミリー・ブラント演じるマーガレットの口から、人間のものとは思えない奇妙な言葉が発せられます。

この声というか音?がいいんですよね…。

いかにも、

「何か人間ではないものが喋っている」

と感じる不気味さがあります。

実はこの“非人類言語”、スピルバーグとエミリー・ブラントが一緒に考案しています。

ブラントは役作りのため韓国語とロシア語も学び、さらにこの架空言語の制作にも参加。音響面では『プライベート・ライアン』などで知られるゲイリー・ライドストロームもサポート。

こういう、

「難しく説明しなくても、なんか怖い」

という感覚を作るのが、やっぱりスピルバーグは巧い。

映画を観ながら、妙に嬉しくなるんですよ。「やりやがったなスピルバーグ!」って。

コリン・ファースは、本当に“悪役”なのか

隠すべきか、明かすべきか…

真実を隠そうとする側の中心人物が、コリン・ファース演じるノア・スキャンロンです。

UAPや地球外生命体についての情報を長年守ってきたワーデックスのリーダー。

こう聞くと、

「はい、悪いやつですね」

と思ってしまいそうですが、本作はそんなに単純ではありません。

スキャンロンは、

「真実を公開すれば、世界そのものが壊れるかもしれない」

と本気で信じています。

世界中の宗教観が揺れる。

政治も揺れる。

社会秩序も揺らぐ。

だから隠す。

それは独善なのか。

それとも人類を守るためなのか。

一方、コールマン・ドミンゴ演じるヒューゴ・ウェイクフィールドは、隠し続けることのほうが危険だと考えます。

この「公開すべきか、隠すべきか」という対立があることで、単なる宇宙人映画以上の面白さにつながっていると思いました。

最後まで、ちゃんとスピルバーグ

娯楽アクション大作でもある!

とはいえ、そういった難しいテーマだけの映画ではないです。

そこは安心してください。

カーチェイスしまくる!

特殊部隊は急襲してくる!

踏切で後ろから押される!

謎のオーバーテクノロジー!

ちゃんと大作SF映画です。

「ハイペースで独創的なアクション映画」スピルバーグ自身も、冒頭からスリリングな体験を作り、最後の約20分で積み上げてきた疑問が氷解する構成を目指したと語っています。この最後の20分の畳み掛けがスピルバーグ節なんですよね。

ここは詳しくは言いませんが…、

「そこまでディスクローズするんだ!」

というところまで行きます。行っちゃいます。見せちゃってます。

やっぱりこの振り切り方がスピルバーグだし、かなり好きなところでした。

映像も「昔」と「今」が混ざっている

こういうSF映像作らせたらピカイチのスピルバーグ監督です

映像面についてはどうか。

撮影は、スピルバーグ作品を長年支えてきたヤヌス・カミンスキー。

本作でスピルバーグと組むのは21作品目です。

撮影の約3分の2は35mmフィルム、残り約3分の1はデジタルカメラを使用しているとのこと。

さらに、過去のUAP記録を見せる場面では、16mmフィルム、古いキネスコープ、ビデオテープなど、それぞれの時代に合った映像フォーマットまで再現。

そのため、

「昔のUFO記録映像を見ている感じ」

と、

「最新のSF大作を見ている感じ」

が同じ映画の中にあります。

これも、本作ならではの楽しさだと思います。

音楽はやっぱりジョン・ウィリアムズ

そして音楽はジョン・ウィリアムズ。

『ジョーズ』『E.T.』『未知との遭遇』『インディ・ジョーンズ』シリーズなどでスピルバーグと組んできた、映画音楽の巨匠です。

一度は映画音楽からの引退を表明していたウィリアムズに、スピルバーグが改めて依頼。

本作は2人が一緒に手掛ける30本目の映画になりました。

スピルバーグによれば、前半の音楽は比較的抑えめ。

そこから物語に合わせて変化していきます。

これも、派手なものを最初から全部見せず、少しずつ映画を大きくしていく本作の構成とよく合っています。

『未知との遭遇』を知らなくても大丈夫

「スピルバーグの過去のSFを観てから行ったほうがいい?」

と思う人もいるかもしれません。

必要ありません。

『未知との遭遇』の続編ではありませんし、本作だけで物語は完結しています。

もちろん過去作を知っている人なら、

「スピルバーグが今またこの題材を撮るのか」

という面白さがあります。

でも初めてでも、

「政府は何を隠している?」

「宇宙人は本当に来ている?」

「真実を知った世界はどうなる?」

というシンプルな好奇心だけで十分です。

むしろ映画をあまり詳しく知らない人にも、かなり入りやすいSFだと思いました。

動物と意思疎通はドリームですね

まとめ

『ディスクロージャー・デイ』は、

「宇宙人が実は地球に来ていて、その証拠を政府が隠していたら?」

という、多くの人が一度は聞いたことのある若干あやしげかつ陰謀論的な題材を、スティーヴン・スピルバーグが大作映画として真正面から描いた作品です。

前半は謎を追うサスペンス。

そこからアクションが加速し、タイトル通り少しずつ真実が“開示”されていきます。

そして最後には、

「ここまでやってくれるんだ」

というスピルバーグらしいセンス・オブ・ワンダーな展開が待っています。

『未知との遭遇』が好きな人。

UFOや都市伝説の話につい反応してしまう人。

SF大作を映画館で楽しみたい人。

そんな方には、かなり楽しい一本なのではないでしょうか。

映画『ディスクロージャー・デイ』は、2026年10月1日(木)全国公開。上映時間は2時間25分。

予告編で見えているものは、まだ入口。

ぜひ映画館で、“開示の日”を迎えましょう!


作品情報

『ディスクロージャー・デイ』

作品名:『ディスクロージャー・デイ』
原題:DISCLOSURE DAY
監督・原案:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:デヴィッド・コープ
製作:クリスティ・マコスコ・クリーガー、スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮:アダム・ソムナー、クリス・ブリガム
出演:エミリー・ブラント、ジョシュ・オコナー、コリン・ファース、イヴ・ヒューソン、コールマン・ドミンゴほか
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
上映時間:2時間25分
字幕翻訳:松浦美奈
公開日:2026年10月1日(木)
配給:東宝東和
© Universal Studios. All Rights Reserved.

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