映画『怪速急行■■行き』レビュー 地下鉄の日常が恐怖に変わる“日常侵食型”ホラー

『破墓/パミョ』の制作陣が手がける韓国ホラー映画『怪速急行■■行き』が、7月31日に公開されます。
本作は、“人が消える”と噂される地下鉄・光臨駅を舞台に、ホラー系動画クリエイターが都市伝説の真相を追うミステリーホラーです。王道ホラーに加え、ミステリーやボディホラーなどさまざまな恐怖を盛り込んだエンターテインメント作品となっています。
今回は試写で鑑賞した感想を、ネタバレを避けながら紹介します。
『怪速急行■■行き』とは?


『怪速急行■■行き』は、『破墓/パミョ』の制作陣が新鋭タク・セウン監督を起用して制作した韓国ホラー映画です。第29回釜山国際映画祭ミッドナイトパッション部門に正式招待され、韓国公開時には初登場No.1を記録しました。
物語の主人公は、ホラー系動画クリエイター「ホラークイーン」として活動するダギョン(チュ・ヒョニョン)。再生数の伸び悩みに苦しむ彼女は、“人が消える”という噂が絶えない地下鉄・光臨駅を取材することになります。
駅長(チョン・ベス)が語る不可解な失踪事件を動画にしたことで再生数は急上昇。しかし、さらなるスクープを求めて調査を続けるうちに、ダギョンは駅に隠された恐ろしい真実へと近づいていきます。
日常の地下鉄が恐怖の舞台に


本作で印象的だったのは、毎日のように利用する地下鉄という身近な場所が、そのまま恐怖の舞台になっていることです。
夜の駅構内や人気のないホームといった空間が不気味に描かれ、「普段見慣れている場所なのに怖い」と感じさせる演出が続きます。このあたりは最近のリミナル・スペース系ホラー(『バックルームズ』等)の流れを感じます。
映画公式Xアカウントは本作を「日常侵食型ミステリーホラー」と表現していますが、その言葉どおり、地下鉄という誰もが知る空間が少しずつ異質な世界へ変わっていく様子が印象に残りました。
ホラーだけではない、ミステリーとしても楽しめる


恐怖演出だけではなく、「なぜ人が消えるのか」という謎を追うミステリー要素も本作の魅力です。
ダギョンは駅長から過去の出来事を聞き出しながら真相へ近づいていきますが、物語は一筋縄では進みません。
次々と語られる怪談や失踪事件が少しずつつながっていく構成になっており、最後まで先が気になる展開でした。
多彩なホラー演出が続く


ホラー演出も一種類ではありません。
突然驚かせるような演出だけでなく、不気味さがじわじわと迫る場面や、思わず目を背けたくなるようなボディホラー的な描写まで盛り込まれています。
試写を見た印象では、「怖い」と感じる場面だけでなく、「気持ち悪い」「ゾッとする」といった異なる種類の恐怖がテンポよく続くため、最後まで飽きずに楽しめました。
近年の韓国ホラー作品のトレンドを取り入れたような、多彩な恐怖表現が印象的です。


キャストにも注目


主人公・ダギョンを演じるのは、ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』などで知られるチュ・ヒョニョン。本作が長編映画デビュー作となります。
光臨駅の駅長を演じるチョン・ベスは、韓国ドラマでもおなじみの実力派俳優。本作でも親しみやすさと不気味さを同居させた存在感が印象的でした。
また、ダギョンが所属するコンテンツ制作会社のプロデューサー・ウジンを演じるのはチェ・ボミン。劇中ではダギョンを支える存在として登場し、ホラー一色になりすぎない雰囲気を作っています。


タイトルの「■■」にも注目
本作の邦題『怪速急行■■行き』では、行き先が伏せ字になっています。
劇中のメイン舞台は「光臨駅」ですが、タイトルの伏せ字については作品内で明確な説明があるというより、映画を観ながら想像を膨らませる仕掛けになっている印象でした。
どのような意味が込められているのかも、鑑賞時の見どころの一つになりそうです。
まとめ


『怪速急行■■行き』は、地下鉄という身近な場所を舞台にした韓国発のミステリーホラーです。
王道ホラーだけでなく、都市伝説、謎解き、ボディホラーなどさまざまな恐怖が盛り込まれており、テンポよく楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっています。
暑い夏に、ゾッとする一本を探している人にはおすすめできる作品です。










